[韓国サンケン労組を支援する会]韓国国会議員の嘆願書と民主労総の声明

2021年6月3日

  サンケン電気と埼玉県警による労働弾圧事件。5月10日に不当逮捕された尾沢孝司さん(支援する会)の勾留が続いている。韓国からは国会議員41人の嘆願書、そして「民主労総」は抗議声明を発表した。

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韓国サンケン廃業撤回のため日韓市民連帯を率いてきた

尾沢孝司さんの釈放を求める大韓民国国会議員嘆願書

吉田誠治 さいたま地方検察庁 御中

私たちは大韓民国国会議員です。

私たちは、5月10日(月)にさいたま県警により「韓国サンケン労組を支援する会」の尾沢孝司事務局次長が逮捕され、現在まで17日間拘禁状態にあるとの知らせを受けました。

先だって1月には、大韓民国国会議員13名が貴政府とサンケン電気宛に「韓国サンケン廃業撤回と韓国人労働者保護のための共同書簡」を送っています。

そして今回、韓国サンケン労働者と連帯してきた尾沢孝司さんが逮捕されたとの知らせに憂慮を表し、一日も早い釈放を望み嘆願書を送付することになりました。

尾沢孝司さんはこれまで、日韓の悲痛な歴史を胸に抱え、両国の民主主義と平和のため長い間努力してきた方です。日韓労働者の連帯を軸に、労働者の人権のためにも努力してきた方と存じています。

そのような努力の過程で、貴国サンケン電気株式会社が韓国に設立した韓国サンケンが労働者を解雇・廃業するのを目の当たりにし、労働者を保護し日本企業の共生経営文化を確立するためにも尽力されてきました。

韓国サンケンは、貴国のサンケン電気株式会社が100%投資し、1973年に大韓民国馬山(マサン)輸出自由地域に設立された後、韓国政府の「外国人企業投資促進法」による支援で経済活動を行い、47年間地域経済活性化と雇用創出に寄与されてきました。

しかし一方で、サンケン電気株式会社は1996年から韓国サンケン所属韓国人労働者を街頭に押しやってきました。韓国サンケン労働者は大韓民国の「労働組合および労働関係調整法」に基づいて正当に労働組合を結成しましたが、その後サンケン電気株式会社は韓国生産拠点撤収を推進し、2007年から2012年まで、3回にわたり事業部を撤収し7回にわたり構造調整を強行しました。また、2016年には組合員34名を全員整理解雇しようとし、日韓労働団体と市民から抗議を受けています。

そして結局、昨年7月9日にサンケン電気は韓国サンケン廃業を決定し、2021年1月20日に日本本社のホームページへ「COVID-19」による経営悪化を理由に廃業を公示しました。

これは「廃業6ヶ月前にこれを組合に通告しなければならず、具体的な状況に対しては組合と協議後に決定しなければならない」という団体協約違反行為です。また、「今後深刻な雇用問題が発生する場合、事前に協議する」という2017年の復職協議にも全面的に違反するものです。

「COVID-19」という全世界的な困難の中、47年間韓国政府から各種恩恵を受けてきたサンケン電気株式会社が共生の道を捨て去る一連の行為に対し、尾沢孝司さんは日本国民としての良心を守り、韓国の労働者を支援してきました。尾沢孝司さんは、日本企業の共生経営文化の強化と韓国労働者保護のため、2016年から労働者と市民連帯体系を構成することに奔走し、最近ではサンケン電気株式会社の韓国サンケン廃業通告に立ち向かい、毎週平和的な集会を開催してきました。

尾沢孝司さんのこのような行動は、日本企業と韓国労働者の共生、ひいては韓国と日本の未来志向的な関係を維持しようとする市民の正当な正義の行動として高く評価されるべきであり、私たち国会議員は感謝の気持ちを感じてきました。

私たちは日本政府と司法部が市民の正義の声に耳を傾けてくださることを期待します。尾沢孝司さんの活動が尊い平和人権運動であるという点を忘れないでいただきたいと思います。

繰り返し訴えます。尾沢孝司さんが家族のもとに戻ることができるよう賢明な判断をお願いします。

人道主義に立脚し、尾沢孝司さんを釈放していただくようお願いします。

2021年5月28日

大韓民国国会議員共に民主党

高旼廷 權仁淑 金相姫 金勝源 金周暎 金振杓 金會在 朴釘 宋甲錫 宋玉珠 安浩永 梁基大 梁李媛暎 禹相虎 魏聖坤 兪訂炷 尹美香 尹永徳 尹永燦 尹才鉀 尹準炳 李圭閔 李東洲 李成萬 李秀眞 李壽珍 李龍彬 李龍雨 李海植 林昊宣 張耿態 鄭正淳 鄭凊来 鄭必模 曺五燮 陳聲準 崔鍾允 崔惠英 許榮 許琮植 洪貞敏 (以上41人)

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民主労総の声明

<声明>日本サンケン電気の不法偽装廃業に〔反対して闘う労働者に〕連帯する 市民活動家の連行、韓国の労働者と日本民衆の連帯を断ち切ることを目的とした日本警察の挙動に怒りを禁じえず、逮捕された活動家を直ちに釈放せよ!

1970年に馬山輸出自由貿易地域に進出し、あらゆる支援と特恵を受けて利益を吸い上げた日本サンケン電気の韓国子会社、韓国サンケン。韓国サンケンに民主的労働組合が登場し自分たちの無限の収奪にブレーキがかかるや否や〔サンケン電気は〕リストラや民主労総組合員の全員解雇、ついに不法な偽装廃業まで行っている。

このようなサンケンと韓国サンケンの会社側による不義な行為に抵抗する労働者の闘いは、日本の遠征闘争をはじめ本当にやれることは何でもやっていて、現在も日本大使館や領事館前で闘いが続いている。

韓国労働者の闘いを伝え聞いた日本の志ある市民が自発的に韓国サンケン労働者と連帯するための会を立ち上げ、日本国内で様々な連帯活動を行い一定部分の成果を上げてきた。このような状況のもとで5月10日、サンケン電気本社所在の埼玉県で行われた日本警察による市民活動家の連行はその意図が明白である。

昨年9月から抗議行動が行われ続いていて、これまで一度も行動への制止や制裁がなかったのに連行し逮捕することにも全く理解できないが、さらに拘留期間が延長されているのには怒りを禁じえず厳重に抗議する。

労働者の国境を超えた連帯闘争。グローバルに行われる資本の収奪に抵抗し勝利する道は、国境を超えた連帯と闘いの組織に他ならない。日本の資本が国境を超え韓国労働者への搾取、収奪に真っ向から闘う力はここにあった。同じように韓国の資本が他国に出かけて韓国で行えない不当な問題に抗して闘う労働者と共に〔私たちが〕連帯して闘う理由でもある。

逮捕された「韓国サンケン労組を支援する会」の活動家は直ちに釈放されるべきだ。日本政府と警察は、サンケン電気の不義な行為を判断し処罰ができない、処罰しないとしても、市民の自発的な連帯行動に対する妨害や弾圧を行うべきではない。助けられなくても邪魔建てをするようなことはあってはならない。

さらに、大韓民国政府にも要求する。最近問題となっている投機ファンド資本MBKなど、韓国に進出してうまい汁だけを吸い上げて撤収する「食い逃げ資本」に対し、実質的に規制する法と制度が整備されるべきだ。一体いつまでこの地の労働者の血と汗を吸う外国資本の食い逃げを許すつもりなのか。これは主権の問題でもあり、国家の自尊心の問題でもある。速やかな勇断と実行を行え。

2021年 5月 28日

全国民主労働組合総連盟