[全造船関東地協労働組合アスベスト関連産業分会]6.25総行動報告

2021年7月6日

 ニチアス本社前の行動は20名以上の仲間の結集で行われた。最高裁で国と建材メーカーに責任があると判決が出された直後の抗議行動であったため、通行する人たちも感心を持って聞き入っていた。当日配布したビラの内容を以下に紹介します。

[建設アスベスト訴訟 <最高裁判決> 国と建材メーカーに責任あり!]

 5月17日、建設アスベスト訴訟について、最高裁は、規制権限を持つ国の行為が不十分だったとして国の損害賠償責任と、また、アスベスト建材を製造流通させ続けた建材メーカーの責任も認める判決を下しました。

 一方、建設業の場合、仕事の性質上、どの期間にアベストを吸ったのか、本当の雇用主は誰だったかなど、事業主の責任を問うのが大層困難な状況がありました。そこで 2008年から始まった建設アスベスト訴訟は、そもそもアスベストの使用規制・禁止をしてこなかった国と、直接の雇用主ではなくてアスベスト製品製造メーカーに対する損害賠償を要求するというものになりました。

 アスベストは、建材として大量に製造・使用されてきました。長年その有害性・危険性が言われてきたのに、国が規制に乗り出したのは 1975年の「石綿の吹き付け作業」についてのみ。全面使用禁止に踏み込んだのは、クボタ(兵庫県尼ケ崎市)の工場周辺の住民被害が明るみになった2006年のこと。以来、中皮腫や肺がんなどの労災認定・企業責任追及の運動が広がりました。

 今回の最高裁判決は、1975年から2004年の間に働いた労働者に対し、アスベストの危険性を伝達する責任を怠り、「管理して使えば安全だ」と散々言ってきたメーカーの連帯責任も認め、国とメーカーに損害賠償を命じたものです。また、一人親方など、雇用された労働者とは断定しにくい人にも損賠を認めた点で画期的です。原告や弁護団、支援者の方々に深く敬意を表したいと思います。

 一方で、全く納得いかない判断もあります。それは「屋外作業」だとして対象外にされた人たちです。建設現場は作業のため出たり入ったりするし、屋外で電気ノコギリでアスベスト建材を切れば、その粉じんは半端なものではありません。屋内・屋外問わずアスベストが舞っているのです。最高裁は、国がマスクをさせなかったことを問題にしているのに、「屋外作業ではない」という理由で損害賠償を認めないのは、全くおかしいと思います。